写真全体が醸し出す気だるいトーンを
ウェルカムボードらしくアッパーに持ち上げる。
  写真を絵画風に仕立てる”デジタル絵画”の
  メリットやポイントをわかりやすく解説
  1. 曇り空の撮影のためぼんやり仕上がった写真にメリハリをつけて
  2. 曇り空の良さを生かしつつディテールを修正する
  3. デザインの方向性を間違えることなく良さを伸ばしていく
  4. 被写体も大事だが引き立て役である背景も大事

ロケ撮影は天候や周囲の条件に左右されるもの。出来上がった写真の不本意な部分を個別にレタッチし納得のあるウェルカムボードに仕上げる。

結婚式の前撮り撮影、特に屋外の撮影において最も気がかりなのが天候です。天気が晴れだと暖かいしテンションも上がります。逆に雨が降ってしまうとレンタル衣装が濡れてしまい撮影が出来ません。曇りだったら…撮影出来るからOK!
と考えてしまうと不本意な前撮り写真が出来上がってしまいます。とはいえ普通はどうすることも出来ないのですが…。

曇り空の何が悪いのか…。
被写体のことだけを考えるなら曇り空は悪くはありません。なぜなら太陽という強い光源に対して雲がディフューザーとなり強い反射や強い影を抑制し柔らかな光で被写体を照らします。

しかし問題は被写体以外の部分です。
既出の写真を見ていただければわかるのですが、低彩度のグレーがうっすらと写真全体を支配しているためお二人の笑顔とは裏腹にどこかテンション低めの写真に仕上がってしまいます。
この写真についてさしあたりの問題点を言うと
・空のブルーが表現出来ない
・海が濁って見える
・砂浜の白さが損なわれる
ことです。

曇り空には利点もある。青白いタキシードや純白のウェディングドレスが白飛びすることなくきちんと写っている。

曇り時のロケ撮影の利点は被写体へ光が優しく回り込むところです。太陽光が強い晴れの日だと純白のドレスはハレーションを起こし、首元や鼻下などに強い影が出来てしまいがちですが、曇り空なら比較的そのような心配がありません。
ただし、写真全体的なテンションは低い。写真現像時の修正でなんとか緩和出来るものの、根本的に変えることは合成以外に難しいところです。

哲学的に原風景が大前提である写真はあまりいじれない。一方で絵画はゼロから描くため作者の意向が正解となる。

上の画像は実際に制作したデジタル絵画作品になります。
見た目に映えない海と砂浜をどのように処理するかは作家の表現力になりますが、今回は砂浜の色と水面に映る夕日の照り返しをアンバー(琥珀色)にレタッチし、低彩度の絵面に色を付け加えました。アンバーという言葉は写真の世界ではよく使われるワードで、アンバーな写真はロマンチックな表現方法として好意的に解釈される傾向にあります。特に欧米のフォトグラファーの作品に多く見受けられます。

ここで哲学的なお話を少々。
当ブログの主旨はウェルカムボード商品である”デジタル絵画”のことを深く知ってもらうことなのですが、この商品はお客様から預かったお写真を元にそれをコンピューター上でいじって(レタッチ)絵画風の画像を作り、キャンバスに特殊印刷をして完成する商品です。したがって、デジタル絵画はあくまで”絵画”という認識であって、写真がベースにはなっていますが写真ではありませんし写真と言うことはできません。写真とは「原風景」という下絵があってそれを現像によって再現することが前提となりますが、絵画は何も描かれていない真っ白なキャンバスに色を塗って作り上げるものであり、作家の創作の賜物であり、彼の世界観無しには生み出せないということでです。

では写真でもない絵画でもない”デジタル絵画”とは何なのか。いろいろ考えてみましたが「塗り絵」といえばわかりやすいかもしれません。写真が原風景を下絵とするならば、“デジタル絵画”は現像された写真を下絵にしその上で様々な技巧を用いて絵画調に仕上げていきます。

この作品はもともとブライダルのウエルカムボードのために生まれた商品でした。本物の絵画のように時間もかけず費用もかけず、似顔絵のようにデフォルメをせず、結婚するお二人のリアルをアーティスティックに絵画風に仕上げることで素人のお二人でも恥ずかしがることなくお家に飾ることができる絵、飽きることなく長い間にわたって楽しめる絵、これこそがこのデジタル絵画という商品の特徴であり最大の魅力です。

本物の写真や絵画を突き詰める方からするとこの商品は邪道なのかもしれません。しかし、本物すぎる絵画をウェルカムボードにすればディープすぎてハッピーな雰囲気になりませんし怖くも感じます。かたや本物すぎる新郎新婦の写真だと写り方が生々しすぎたり芸能人みたいにハードに写ったりして気恥ずかしく感じたり恐れ多く感じたりする方も中にはいらっしゃいます。素人のカップルが主役のブライダルシーンにおいてはその表現がトゥーマッチすぎて敬遠される方も少なくはありません。


そういうプラス要素とマイナス要素をすべて丁度良く飲み込んだのが”デジタル絵画”であって、いまではブライダルシーンにおけるその存在価値が年々高まってきています。
丁度良くとはいっても要望さえあればディープでハードなタッチで制作することも出来るのです。が、しかしブライダルシーンにおいてはディープよりもポップを望まれるお客様のほうが圧倒的に多い(というかほぼ全て)ので現在のような作風で長年制作を続けており、各地で人気を博しています。余談にはなりますが、昨年途中からは新しい技法であるアンチエイジング技術を追加してそのクオリティを少しずつ向上させています。

話はながくなりましたが、絵画である”デジタル絵画”は原風景に囚われることなく作者の判断によって思い思いの表現ができるため元写真を飛躍的に向上できるということが写真との大きな違いなのです。


※写真と絵画の考え方において面白いブログを見つけたのでもしよかったら参考程度に見てみてください。

低彩度の画像を部分的に彩度を上げる。そして新郎新婦により注目を集めるため背景の建造物を手描き風にぼかす。

曇り空のため全体的に低彩度だった写真を部分的に彩度を高くすることによっていきいきとした絵を作っていきます。まず取り掛かったのは新郎新婦のお肌の赤みを増すことです。次に空と海の色に青みを増す作業を行います。ただし、この写真の海はもともとの青みが乏しいため別の色相で彩度を高めることにします。既にお伝えしたとおり砂浜と合わせる形で一体的に色味をアンバーに寄せ夕日の照り返しのような効果を狙いました。
ちなみに、海を無理やり青くすることも可能だったのですが、そうするとリゾートビーチの方向性になってしまいかねないので、ここはアーバンテイストで絵作りを行っています。

次に、「被写体の後ろの背景をぼかすことにより見る者の目線がより被写体にフォーカスする」というのは写真撮影の基本的なテクニックですが、その技法を応用しデジタル絵画でも背景を意図的にぼかすことがよくあります。しかし、ぼかすといってもただぼんやりさせるのではなく、手描きの技法を使って背景をぼかします。そうすることで絵画の持つ雰囲気がより高まります。

最終的に仕上がった画像が非日常を表現出来ているかが重要。ウェルカムボードの役割は結婚式に華を添えなければ意味がない。

文字入れをしてウェルカムボードの完成。

ウェルカムボードのデザインも様々あります。カワイイ、ラブリー、カッコイイ、クール、渋い、おしゃれ、ロマンチック、などなど。
デジタル絵画に決められたパターンなどありません。なぜならお客様のお写真のテイストが毎回異なるからです。

デザインの方向性を決めるのにまず行うことはお写真に相談をすること。「この写真にはどのような狙いがあるのか」ということを写真に相談して方向性を決めます。

方向性を決める主な要素は
・新郎新婦の表情とポーズ
・ウェディングドレスやタキシードのデザイン
・ロケーション
・新郎新婦の持つブーケや小物
・カメラのアングル
・撮影するカメラマンが狙った構図
などがあります。

それらをまず分析したうえで絵作りを行っていきます。

試しにギリシャの風景と合成してみました。背景と色合いが変われば更なる非日常を表現することが可能です。

通常はこのようなことはしないのですが、ブログ記事のため合成画像を作成してみました。ギリシャのサントリーニ島の風景写真に新郎新婦を合成しました。もちろんサントリーニ島の写真にもデジタル絵画処理をしています。

エーゲ海を象徴するコバルトブルーに白壁の建物、水面を照らす街灯のあかりがロマンチックな雰囲気を作っています。
細かく見れば停泊する漁船などもいい味を出しているのですが、実は見逃せないのが桟橋の石畳だったりします。気が付きにくい要素ですが、全身の写真撮影において地面がどのような状況かというのは絵作りの大きな要素です。私自身写真を撮るのですが、以前撮影をしていたときに、背景が古いレンガ造りの洋館で素晴らしいロケーションだったのですが、地面が舗装されたアスファルトだったので残念な気分になってしまいました。出来上がってきた写真もやはりもったいない感じだったので「ヨーロッパのような石畳だったらどれほど良かったことか」と思ったものです。
そういった意味でこの桟橋の石畳は実はとても重要な役割を果たしているのです。

前撮り写真におけるロケーションとそのコンディションは皆様が考える以上に大切なものなのでこれから結婚される方やブライダル関係者の方はぜひ覚えておいてくださいね。


デジタル絵画をお求めの方は
あらかじめご結婚される結婚式場へ
取扱いの有無をご確認ください。

取扱いがあればそのままご注文ください。
取扱いがなければ下記WEBサイトにて
ご注文ください。

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